今回は、とってもかわいい児童文学作品をご紹介します。読み聞かせは4歳児以上を対象としており、自分で読むのは6歳児以上対象です。
オイレンベルク Eulenberg という小さな町の上に立つ古いオイレンシュタイン城 Eulenstein に住む小さなゆうれいのお話で、市庁舎の鐘が夜中の12時を打つと起き出して1時の鐘が鳴るとまた眠る習性を持っています。みみずく Uhu のシューフー Schuhu と友達で、彼と昼の世界はどんなだろうと話していたら、ある日突然昼の12時に目覚めてしまい、Eulenberg の町中を昼日中に彷徨って騒ぎを起こします。ストーリーは単純で微笑ましく、思わずニヤリとしてしまうようなユーモアがあります。
ドイツ語学習者の視点で見ると、児童文学とはいえなかなか侮れない高度な表現があります。私は言葉の面でも、もうちょっと子供向けの単純なものを想像していたのですが、結構知らない表現があって意外でした。知らなくても意味は文脈からくみ取れるようなものでしたが、興味深いものでした。
例えば jemanden ins Pffererland wünschen(誰かが遠くに(コショウの育つ土地)いなくなることを願う)や mit Holterdiepolter(大慌てで)などが表現として面白いですね。
別れる意味での「失礼する」のニュアンスで sich empfehlen が使われているのもなかなか文学的です。
なので、ドイツ語の表現力を広げたい方にもお勧めです。
邦訳もありますので、まずは日本語で読んでからドイツ語原文と読み比べてみるとよいのではないでしょうか。